論理的になる技術が身につく「論理トレーニング」

論理的になる技術が身につく「論理トレーニング」

 仕事で言いたいことがうまく伝わらない、説明できない。 そして、これらを解決するために、 巷にあふれるロジカルシンキングの本を読んだけど、いざ自分でやるとなるとできない… そんな悩みを持ってませんか?

どうして、うまく伝えられない、説明できないかというと、 自分の意見、主張、結論を根拠立てられない、加えて言葉のつながりを意識できていないのが原因なのです。 では、どうしたらよいのでしょうか?

実は、自分の主張を根拠立てる(論理的になる)ためにはあることが必要なのです。

それは、ある主張に対して批判・反論できるようになることなのです。 さて、今回の記事では、「論理トレーニング」を読んで、演習を通して学んだ。そして、身につけたことを基に、

  • なぜ批判・反論できるうようになると論理的になれるのか?
  • そして、どうすれば批判・反論できるのか?

を紹介したいと思います。

論証を批判・反論できるようになる

  根拠を基にある主張・結論を導く(これを論証といいます)ためには、批判・反論できるようになるのが必要だといいました。 なぜ批判・反論できると論理的になる、すなわち論証できる(主張を根拠立てられる)ようになるのでしょうか?

それは、論理的になるように自分で修正できるようになるからです。批判・反論ができるということは、なぜ論理的か? なぜ論理的ではないのか?がわかることにほかなりません。そして、ある主張の論理性を判断し理由がわかるということは、 自分の主張・結論も書いた後、考えたあとに批判的にみて修正できるということにほかなりません。 それゆえに、論証に対して批判ができることが論理的になるために必要なのです。

では、具体的にどうすれば批判・反論できるようになるかというと、

  1. 根拠・前提は適切か?を問う
  2. 主張・結論の導出は適切か?を問う

上記ステップをふむことで論証を批判・反論できるようになります。

論証とはなにか?

 批判の説明をする前に、論証とはなにか?を少しだけ詳しく説明したいと思います。 論証(logical argument)とは、根拠を基にある主張や結論を導くことです。 導出は根拠から主張や結論を導く過程のみを指しているのに対して、論証は 根拠から主張・結論と導出全てを指しています。

論証の定義図

例えば、下記の例を見てみてください。

12時から友達とランチの約束があるのだが、多分私は遅刻するだろう。
というのも、電車の復旧の目処がまだ立っていないからだ。

この例の結論は「多分遅刻する」で、根拠は「電車の復旧の目処が立っていないから」になります。 このように、根拠を基に結論を出すことを論証と呼びます。しかしながら、この論証はこのままでは弱い論証と言えるでしょう。 どうして弱いのか?は以下の問いに答える形で答えていきます。

根拠・前提は適切か?

 上記の例だと、根拠は「電車の復旧の目処が立っていない」です。これは根拠としては適切でしょうか? あるいは、曖昧さ、具体性にかけるところはないでしょうか?考えてみてください。

これは、根拠としては適切とは言えません。そこで、根拠として強くするために、具体的にどのくらいで復旧するのか? や復旧したとしてどれくらいで到着可能なのか?猶予時間はどれくらいあるのか?を含めると根拠として適切になってくると言えます。

主張・結論の導出は適切か?

 続いて、結論までの導出は「電車の復旧の目処が立っていないから」「約束に遅刻する」でした。 この導出は適切でしょうか?仮にこの根拠が正しいと仮定しても、この結論を導くのは曖昧さが残ります。 なぜなら、すぐに復旧すると間に合うかもしれないからです。あるいは、時間的に余裕があれば、復旧が遅くても 約束に間に合うはずです。この例では、根拠自体が弱いので導出が弱くなっています。そのため、 導出を強くするには先に述べたような根拠を追加するといいでしょう。

それでは、先の例文の批判を基に、論証を強くした例を見てみましょう。

12時から友達とランチの約束があるのだが、すでに11時を回っており多分私は遅刻するだろう。
というのも、駅員に聞いたところ復旧には30分以上はかかるとのことだ。
さらに、復旧したとしても約束の場所までは20分かかる。
したがって、もう時間的な余裕がないので、おそらく遅刻するだろう。

ここでの結論は「多分遅刻する」で、根拠は「もう時間的な余裕がない」になります。 そして、その根拠は「復旧に30分かかる」そして「到着までに20分かかる」になります。 確かに、すぐに復旧しても10分しか時間的な余裕がないことになるので、論証としてはより 強いものになったと言えます。

このように、論証に対して批判ができるようになると、自分自身で論証を行うときも 強い論証に仕上げることができるようになります。さらに、論理トレーニングでは、 論理の肝となる文と文の接続の関係も演習を通して身につけることができるので、 論理的になりたいと考えている方は読んでみてください。


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この本を読んでわかったのですが、論理的というのは実は考える力とは少し異なります。 論理的というのはあくまでも主張をより強くするためのつながりをつくるためで、 考える力は論理に含まれるなかの推論が考える力であるということがわかりました。 このあたりは、論理トレーニングバーバラ・ミントの考える技術・書く技術※1を 読み比較するとわかると思います。考える技術・書く技術では推論と構造化に趣を起き、 論理トレーニングは論理(つながり)に趣を置いています。

※1 バーバラ・ミントの本に関しては、考える力が驚くほど身につく「考える技術・書く技術」ピラミッドストラクチャーで紹介しています。こちらの本は絶対に読んだほうが良いです。

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